工学部 社会環境工学科
環境建設材料工学研究室
4年 N. K.

この度は、平成29年度の太田育英奨学金を授与していただき心よりお礼申し上げます。給付していただいた奨学金は、以下の活動に使用させて頂きましたのでここにご報告いたします。

1. 実施した活動内容
  2017年7月22日から8月5日にかけて、ドイツで行われたワークキャンプに参加しました。Freudenstdt遺産協会は約20年間もの間、管理者が不在であったWaldhaus Grandhotelを修復することで街の文化遺産を保存することを目的としています。1899年に建設されたWaldhaus Grandhotelは、シュバルツバルトの森に囲まれ雄大な自然を感じられるホテルでもあり、今回のワークキャンプでWaldhaus Grandhotelの歴史を学ぶとともに、荒れ果てたシュバルツバルト自然公園を再び利用できるように除草、土砂の除去および修復活動を行いました。ワークキャンプは座学と実践的な活動の二つに分かれ、座学のパートではFreudenstadtの街の歴史やホテルの歴史を学び、ワークキャンプの参加者が自国の文化遺産について英語で10分間のプレゼンテーションを行いました。さらにワークキャンプを組織するEuropean Heritage VolunteersやFreudenstadt遺産協会の組織体制について学びました。シュバルツバルト自然公園には、ホテルの建設と同時に造られた用水路があり、劣化の進んだ石壁の取り換えにも取り組みました。また見学ツアーとしてFreudenstadtの街の伝統的な建築物や街の広場を見学し、その歴史やデザインコンセプトについて学びました。ワークキャンプの運営は全て英語で行われ、自炊や滞在先の掃除など当番制で行い世界中から集まった参加者と協力してプロジェクトに臨みました。

2. 得られた成果
 今回のワークキャンプの活動を通してFreudenstadtの街の文化遺産とシュバルツバルト自然公園を保存することに貢献し、Waldhaus Grandhotelと街の人々との歴史を学ぶことで文化遺産の価値を後世にまで保存することの大切さを学ぶことができました。そしてFreudenstadt地区に住む方が一丸となってWaldhaus Hotelを保存しようとする意義を学ぶことができたと思います。実際に自分自身がシュバルツバルト自然公園の修復活動をして自分の肌でその歴史に触れ、自然遺産・文化遺産がいかに価値のあるものなのかを体感することが大きな意味を持つのだと感じました。
 日本の建設物などについては便利さを追求する一方で、歴史的な価値を持ちうる建物までも壊してしまう場合があります。その背景には、維持管理のコストの高さやより良い暮らしを求める日本人の気質があると予想されますが、ドイツではお金が掛かってでも文化遺産を保存することに価値があるということをマネージャーの方や遺産協会の方のひた向きな姿から学ぶことができました。またホテルと自然公園の修復費用を抑えるために、ワークキャンプをして参加者とプロジェクトを進めることは非常に良いことだと思いました。ワークキャンプの参加者は豊かな知識と経験を積むことができ、遺産協会としてはプロジェクトに掛かる費用が抑えることが出来るので日本でもこのようなワークキャンプという形で外国人の方を受け入れ、文化遺産などを保存していければよいと感じました。
 またFreudenstadtの街の方々に向けた10分間のプレゼンテーションについては、英語学習の成果を感じることができました。これまで行ってきた英語学習が身を結び、プレゼンテーションに関しては自信を持って自国の文化遺産について紹介することができました。さらに自分のプレゼンテーションだけでなく他国からプロジェクトに参加した人たちの発表を聞くことで異なる文化を共有し、新しい発見をすることができたと思います。

3. 今後の課題
 私が参加したワークキャンプでは英語で会話をすることを基本としていたため、TOEICの受験などを通して英語学習に尽力していました。スコアの向上も見られ、自分の英語能力に自信が持てる程になりましたがワークキャンプの参加者と実際に会話をする際には、まだまだ自分の英語能力は未熟なのだと再確認しました。ワークキャンプ中の活動や会話を通して英語学習は、継続的に行うことが重要であり、現在も勉強している英語学習を続けることが重要なのだと感じました。
 またワークキャンプ終了後の卒業研究においても、ワークキャンプで経験したことや尽力したことをバネにして取り組むことができたと思います。教材を使用して基礎的な知識から専門的な内容まで学ぶことができましたし、興味関心を強く持って掘り下げた研究ができたと思います。またワークキャンプ中に出会った人から受けた刺激や経験したことから、大学院に進学してからも研究活動や大学院修了後の就職活動においても幅広い視野を持ってあらゆる可能性に挑戦したいと思いました。

 以上の活動を主たる用途として太田育英奨学金を利用いたしました。貴奨学金をいただいたことで,大変充実した1年を過ごすことができました。この1年間で経験した貴重な時間は、これから大学院で研究をしていくうえでも非常に価値のあるものであったと思います。今後の大学院生活では、この貴重な経験をもとに、さらなる精進を重ねていきたいと思います。最後になりましたが、本奨学金を授与していただいたことに、重ねて深く御礼を申し上げます。
 
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