和手拭業界の重鎮であり、日本一のコレクターの浮田大先輩が、平成7年度川西市民文化賞に続き、栄えある平成12年度「兵庫県ともしびの賞」を受賞された。いうならば「地方文化勲章」に相当するもの。 ますます矍鑠(かくしゃく)たる先輩に乾杯!
寺澤界三(旧13)
(哀悼 3月10日川西市民病院にて逝去されました 享年89歳 浮田大先輩の輝かしい業績は東商同窓会員の誇りとするところです)
浮田光治氏(旧7)は、明治45年大阪船場で生まれた。長女の佐野恵美子さん(浮田コレクション管理者)によると、幼少時代は腕白で横堀川に浮かぶ材木に乗ってよく落ちたらしい。生家は北久太郎町の浮田織物文庫紙商店、その次男に生まれ、通学した浪華小学校跡が、いまの東商だ。昭和4年卒業してすぐ、京都の豪商・永楽屋へ丁稚奉公をされた。当時の日本は貧しく、尋常小学校(高等科)を卒業して丁稚に出る風習だったが、氏は東商卒というエリート丁稚に加え、商人の父親の厳格な指導を受けていたため、すぐに才覚を現し、和手拭いの企画・デザイン・販売の責任者を命じられた。
和手拭いは、幕末から明治・大正・昭和へと、東京と大阪が競う形で普及したようだ。意匠を凝らしたコレクション展はもう25回を超える。TV・ラジオ出演も数多かった。平成8年にはNHKの「にんげんマップ」は好評。平成9年川西市民文化賞、そして、このたび平成12年度「兵庫県ともしびの賞」を頂かれた。和手拭いを一代で極めた大先輩の光栄を後輩として拍手をお贈りしたい。
なお、コレクションは5000枚を超える。著名な「手拭い百いろ会」をはじめ、名所江戸百景、歌麿・写楽もの、日本海海戦・神風特攻隊など貴重なものも多い。
いまも川西市に在住、矍鑠(かくしゃく=老いても丈夫で元気なさま)としておられる。 大西吉雄(新2 川西市在住)記