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2010/04/26

東商剣誠会 「東商剣道部小史」

船城 英教(新26)

 東商業学校は、大正9年に創立されました。剣道部は初代校長神山先生の指示のもと創部され、学校創立当時に創部された数少ない部のひとつで、東商の歴史と歩みを同じくしてきました。当時の剣道部の生徒達を支援するために、設立した会が東商剣道倶楽部です。この会が現在の東商剣誠会の母体となりました。東商剣道倶楽部の記述は昭和6年の記録に残っています。

 この記録に残る最初の代表者は旧5期の北宮先輩で、創部11年後(昭和6年)にも活動の記録があり、おそらくもう少し早い時期に立ち上げられたと推測されます。北宮先輩は、卒業後も東商剣道部に心を寄せられた人物であり、この時期は20代前半と思われます。

 こうした若い先輩方に支えられた会は、おそらく昭和20年の終戦まで続いたと思います。先輩方の熱い思いが戦争という時代を超え、今につながります。

 戦後、GHQによる武道禁止政策のため、東商も剣道部空白の時代が続きましたが、昭和30年に新制8期の尾上・北田先輩が中心となり、新しく創部された剣道部の支援を目的として、東商剣誠会が結成されました。最初に記録に残る剣誠会会長は西野新祐先輩(旧15)で、現在は山田耕三先輩(旧16)です。

 この事実は、東商剣道倶楽部の 流れを引き継いだ先輩方が、剣道 部空白の時期も、どこかで剣道部 復活を夢見て、想いを胸に描き続 けてこられたからだと信じます。

 こうした先輩方に支えられた東商剣道部の足跡を限られた資料ですが、辿ってみたいと思います。

【東商業学校時代(大正9年~昭和 22年)】

正木、原田賢蔵(武専)、大塚(武専)、三好(武専)、藤原、茂木、黒羽資雄の各先生方から指導を受ける。

  • 大正15年:
    関西大学主催全国中等剣道大会出場、優勝校関西学院中等部に4対5の接戦
  • 昭和3年1月10日~21日:
    豊中中学寒稽古第1回他校選手 招待試合に参加
  • 昭和3年2月11日:
    市立東商業学校大会開催
  • 昭和6年11月:
    5年生佐々木信雄 東商新聞第10号に剣道部報告あり
  • 昭和6年6月26日:
    卒業生発起のもとに剣道部後援会設立、名称を東商剣道クラブとする
  • 昭和10年7月:
    全国青年演武大会出場(京都武徳殿)
  • 昭和10年8月3日:
    東商剣道倶楽部創立東商15周年記念号に剣道倶楽部の報告あり
  • 昭和10年11月29日:
    大鳥神社奉納試合近畿中等学校優勝武道大会で中外商業に2対3で惜敗し準優勝
  • 昭和11年7月25日:
    第37 回全国青年演武大会出場(京都武徳殿)、第2回戦で九州学院(熊本)に敗退
  • 昭和12年7月:
    全国青年演武大会出場(京都武徳殿)
  • 昭和12年11月3日:
    第9回明治神宮体育剣道大会(東京青年会館)、4年矢代信雄2回戦敗退
  • 昭和12年11月27日:
    大鳥神社奉納試合近畿中等学校優勝武道大会で豊中中学に惜敗し準優勝
  • 昭和13年7月:
    全国青年演武大会5回戦出場(京都武徳殿)
    明治神宮体育剣道大会個人戦矢代信雄準優勝
  • 昭和14年8月:
    全国青年演武大会ベスト8(京 都武徳殿)


【笹月先生と東商剣道部】
 笹月 繁先生は、昭和39年から 49年3月まで東商に勤務されました。この10年余りの間に約60名の剣道部員を指導して頂きました。剣道部の稽古は基本を大切にした内容で、高校で初めて剣道をした部員が多い学校でしたが、殆どの部員が綺麗な稽古を習得できたと思っています。素振りは、“大きく”、“正しく”、“真っ直ぐ”を一所懸命守って稽古をしていました。

 合宿は、当初学校に宿泊したそうですが、昭和40年代前半からは、夏に高野山へ6日位の日程で行われ、宿泊は宿坊、全員が防具と一緒にお米を持っていった覚えがあります。

笹月先生は当時、大阪高等学校体育連盟剣道部の副委員長もされており、我々の合宿に連盟の方々も合流された懐かしい思い出もあります。笹月先生に指導して頂いた昭和39 年から48 年という時代は、女子剣道が勃興した年代でもあり、全国的にも素晴らしい選手を輩出した時代でした。東商では、下千代子先輩(新19)が初めての女子部員になり、呉城登喜先輩(新23)が第17回大阪府剣道優勝大会女子の部準優勝と続き、昭和46年度には姜、吉田、成川、中村が近畿大会出場(京都)という金字塔を打ち立てました。同じ年度には大阪市立大会男子団体優勝。翌47年度には大阪市立大会男子団体準優勝、男子個人戦優勝(川崎末彦(新25))という輝かしい成績を残しています。

 また、笹月先生が転勤された49年度にも教え子の生徒達がインターハイ大阪大会予選準優勝という素晴らしい成績を出しました。この流れは昭和53年度大阪大会女子団体3位(2回)に、そして現在の東商剣道部につながっています。

 笹月先生が転勤された府立摂津高校剣道部とは49年度夏に淡路島で合同合宿を行いました。これが縁となり、笹月先生が府立香里丘高校の校長を最後に、定年を迎えられた翌年の平成13年1月より、東商・摂津高校剣道部交流稽古会を隔年で両校の道場で実施しています。この稽古会では、笹月先生を中心に現役・OBの交歓稽古を通じて指導頂いています。

 さて、笹月先生が東商で最初に教えた、故八幡康雄先輩(新17)を筆頭に、28期生までの卒業生は、先生を囲んで年一度の会「笹の葉会」を持っています。

 今年、平成22年は先生も70才、古希を迎えられます。学校長を定年退職された後は、園田学園大学勤務を経て、現在は全日本学校剣道連盟事務局長として全国を廻って剣道指導の日々を送っておられます。さらに大阪市立修道館の講師として週に三日は稽古をされています。

八段審査にはもちろん挑戦され、必ず近い日に昇段されると確信しています。

 これからも笹月先生と東商剣道 部の皆さんのご健康を願って筆を おきます。

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