会長あいさつ

河田コンサルタント事務所 
河田 孝志 
(土木第1期)   
会員の皆様へ






 
 2024年度の会報の発行にあたり、環会会長としてご挨拶させていただきます。
 10月19日環境理工学部30周年記念式典ならびに祝賀会が開催されました。
 記念式典では、難波環境理工学部長から、環境理工学部創立の理念についてご挨拶がありました。(以下、難波学部長あいさつより)
 『環境理⼯学部は、よりよい環境づくりと拡⼤する環境問題に対処し自然と⼈間が調和した豊かで快適な環境の創造に貢献することのできる⼈材を養成することを⽬的として、「環境」を教育研究の柱とする国立⼤学では最初の学部として創設されました。このたび、環境理工学部創⽴30年の軌跡を振り返るとともに、名称こそ⼯学部と変わりましたが、環境理⼯学部創⽴の理念を受け継ぎ、新工学部の⽬標“Society5.0 for SDGs”の達成に向けた、さらなる⾶躍を祈念いたします。』
 河野伊一郎初代環境理工学部長から、環境理工学部創設の経緯と期待を述べられました。(以下、河野 初代学部長あいさつ)
 『⽂部省から「⼤学設置基準の改正」の通達がありました。私自身学部⻑に任命された直後でもあり、緊張気味に受取ったことを記憶しています。その改正の内容の中に「これまでの4年間の⼤学教育の最初の2年間は教養課程(学⽣は教養部所属)、後半の2年間は専⾨課程という2段階制を廃⽌して4年間⼀貫教育とする」という内容がありました。各⼤学はこれを⼤問題と受けとめました。即ち教養部は不要となり、その取扱いをどうするかという問題でした。さっそく岡⼭⼤学でも学部長会、評議会を中⼼に議論を重ね、「教養部を廃⽌して新しい学部を創設する」ということになりました。新しい学部はどのような内容のも のにするかについては難しい問題が予想され、議論が重ねられました。私はオランダでの体験を もとに「環境」を教育研究の中軸にした学部とすることを提案し、最終的にそれが採択されました。この新学部(環境理⼯学部と命名)の設⽴までにはその後多くの難関がありましたが、教養部を中⼼に⼯学部、農学部等の協⼒もあり、関係者の努力によって1994年に新学部の設立の運びとなりました。
 いまSDGsやESDは広く社会に理解され、その重要性が認識されていますが、環境理⼯学部創設後は、関係者の努⼒によって研究活動と有能な⼈材育成がなされてきたことを承知しております。それは社会に対する⼤きな貢献であることはいうまでもなく、岡⼭⼤学の評価を高めることにもつながったと感じています。この度、環境理⼯学部は発展的に⼯学部と統合されましたが、「環境に関する研究と⼈材育成」 は継続進展し、社会に貢献してゆくものと期待いたします。』
 比江島教授から環境デザイン学科の教育研究概要と取組について話されました。

 
記念式典にて 学部棟へ木銘板を上掲する様子
 祝賀会は、那須学長はじめ多数の方々の出席のもと執り行われました。私も環会会長として記念式典、祝賀会に出席させていただきました。正直、30年前に工学部土木工学科から環境理工学部環境デザイン学科に変更になった際には、土木子学科の名前がなくなることに寂しさを覚えましたが、環境理工学部の創設の経緯、30年間の歴史をお聞きし、改めて我々土木技術者が為すべき事の重要性を強く感じました。河野先生にお会いするのは本当に久しぶりで、先生のお元気な姿を拝見でき大変嬉しく思いました。

 
祝賀会にて 那須学長あいさつ 祝賀会にて 河野初代学部長あいさつ

 
 昨年に引き続き、環会の学生会員の工学部工学科環境・社会基盤系都市環境創成コース2回生の学生の皆さんに、「建設施工学」の講義を通じて、私の44年間の会社人生において、特に建設現場での経験を踏まえ、「何を考え、何をしてきたか」を話させていただきました。また、「土木工事を見て、最先端技術の取組を知る」、「建設現場においてどの様な仕事を行うかを垣間見る」を目的に、新名神高速道路梶原トンネル、枚方トンネル工事を見学いたしました。両現場では、発注者の西日本高速道路株式会社、施工会社には環会の先輩が働いており、昨今の建設現場での最新技術、建設現場の働き方改革の実情を知ることが出来たかと思います。
⻄⽇本⾼速道路株式会社 奥家海⽉さん
(令和2年卒業)による現場概要説明
梶原トンネルにてARによる現場体験
 
梶原トンネル坑⼝での記念撮影 牧⽅トンネルの世界最⼤級のシールドマシン
(φ17.68m)組⽴状況
牧⽅トンネルにて世界最⼤級のシールドマシン前で記念撮影


 2016年から国土交通省が取り組んできたi-Constructionは8年目を迎え、生産性の向上、安全性の向上において成果を上げています。2024年6月にはi-Construction 2.0 建設現場のオートメーション化に向けて、2040年度までの「省人化、安全確保、働き方改革」の目標を定めています。(国土交通省HPよりi-construction2.0について)
 日本の建設業界における、産官学が一体となったi-Constructionの取組は海外においても注目されています。また、私が参画しています、セーフティグローバル推進機構(IGSAP)では働く方全員が「安全な環境の中で、心身ともに健康で生きがい、やりがいをもって仕事をする」 ウェルビーイング(Well-being)の実現に向け、海外の方々と連携した活動を行っています。(関連ページ:https://institute-gsafety.com/
 2025年4月13日から10月13日に開催されるEXPO 2025大阪のEXPO Hall でSHW(安全、健康、ウェルビーイング)フェスティバルが7月17日、18日に開催され、ILO(国際労働機関)の主催でYOUNG YOUTH(若い世代がウェルビーイング実現に向けた取組イベント)に岡山大学も参加いたします。会員の皆さんも是非万博会場にお出かけください。

 会員の皆様方のご健康とご活躍、ウェルビーイングが実現できることを祈念して私の挨拶とさせていただきます。