母校だより
2020年9月7日更新
本年度より生命科学部長を拝命致しました若山でございます。立命化友会の皆様には、平素より生命科学部ならびに生命科学研究科の教学・研究に、深いご理解とご支援を賜り、誠にありがとうございます。学部・研究科を代表して、厚く御礼申し上げます。
中国武漢に端を発したコロナ禍は瞬く間に全世界へ拡大しました。本年度は、コロナ対応で始まりました。昨年度末を振り返りますと、何とか入学試験は実施出来ましたが、卒業式と修了式の開催は叶いませんでした。学生の皆さんにとって人生の節目の一つであり、門出を寿ぐ祝典を開催できなかったことは残念でなりません。また、新入生にとって大切なイベントである入学式開催も断念しました。
4月初旬からゴールデンウイークまで非常事態宣言が発令されていたため、学園全体が休校になりました。前代未聞の出来事ですが、非常事態宣言解除後に始まったWeb授業は学生、教職員ともに初体験であり、想定外のことで準備不足等により対応が後手後手にまわること度々でしたが、春学期中盤にはWeb環境も徐々に改善され、春学期はなんとか乗り切ることができました。ただし、低回生実験は、薬学部と協同して、7月後半から8月の間で、内容を圧縮し、対面で実施しました。研究室での実験も4月は完全にストップし、ゴールデンウイーク明けから密を避けるため、人数制限をしながら進めて来ました。
この間、Web講義に対する支援として、PCやルーターの貸出等のオンライン受講のための環境整備やコピー代や通信費等のサポート、さらにコロナ禍により経済活動が大きなダメージを受けてきたなかで、アルバイト先の喪失あるいは家庭の経済状況が悪化するなど困窮状況に陥った学生に対する支援など、学園を挙げて取り組んで参りました。そのなかで、募金活動におきましては、会員皆様方の心温まるご支援を頂きまして、厚く御礼を申し上げます。
すべての講義がWebを介して行われましたが、定期試験も実施されなかったことから、成績は講義への参加度やレポート等の課題など平常点での評価となりました。私の30年近い教員生活において、もちろん初めての経験でした。毎日PCと長時間睨めっこし、多くのレポート課題をこなしていくことに対して、学生の皆さんはストレスを溜められたと思います。特に、1回生は、入学以来オリエンテーションの1日しかキャンパス生活を経験しておらず、人的交流の場でもあるキャンパスで生活が送れない状況は深刻な問題として受け止めております。秋学期には、基礎演習や実験で対面授業が行われる予定なので、こうした状況は少しずつ改善されるものと考えております。
しかし、現在もキャンパスへの入構制限は続いており、4回生以上の全学生数の40%までしか入構できず、研究室での活動が大きく制限された状況が続いております。卒業論文、修士論文および博士論文の進捗に大きな影響が出ており、秋学期で、如何に挽回するかが課題です。また、すべての海外留学は中止となり、途中帰国を余儀なくされた学生もいます。本国へ一時帰国していた留学生が日本に再入国できない状況にあります。国際学会や海外大学への訪問も取りやめになるなど、教学・研究における国際交流も大きな影響を受けております。
学生の就職活動もコロナ禍の影響を大きく受けました。ほぼ全ての学生がWebを介して面接を受けたのではないでしょうか。想定外の面接方式に戸惑ったことと思います。また、自宅や下宿先に閉じこもる機会が増えたことから、気分転換を上手にはかるなどの工夫も必要だったと思います。今年のイレギュラーな就活を乗り切った学生の皆さんは、本当に良く頑張ったと思います。
そうしたコロナ禍にあっても学園として将来を見据えた歩みを止めるわけにはいきません。現在、R2030と言う立命館学園全体として10年後にあるべき学園像、達成する目標を策定しています。そうしたなか、情報理工学部と映像学部が2024年4月にOICへ移転し、新たな教学・研究を展開することが決まりました。BKCから情報理工学部が転出したのち、学生の皆さんがここで学び、研究して本当に良かったと強く思えるようなキャンパスとしてBKCを発展させていくためには、各学部が協力して諸課題に取り組まねばなりません。そうした学部を超えた協同的な取り組みを行っていくためには、その基盤となる生命科学部の将来構想が必要です。学部の独自性と優位性を再確認し、R2030の理念に合致するように新たな視点を取り入れた将来構想を練っているところです。
世の中がコロナ禍の影響により、スピーディーに一層激しく変化していく時代になります。少子化対応は、R2030で掲げている研究高度化を実質的に達成するうえで、キーになる取り組みです。今後、生命科学部が発展していくためには、学生のバックグランドやニーズに対応した多様な教育機会と学生を大学院進学へと惹きつける先端研究の提供、かつ、これまで以上に、その成果を世の中に積極的に発信し、社会から注目される存在になっていかねばなりません。今後の発展に向けて、会員の皆様方から、より一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
いつになったら安心して通常生活を送ることができるようになるのか、誰も明確な答えはもっていません。もうしばらくの我慢と言えれば良いのですが、そう言えない状況です。最後になりましたが、皆様方のご健康を切にお祈り申し上げます。
中国武漢に端を発したコロナ禍は瞬く間に全世界へ拡大しました。本年度は、コロナ対応で始まりました。昨年度末を振り返りますと、何とか入学試験は実施出来ましたが、卒業式と修了式の開催は叶いませんでした。学生の皆さんにとって人生の節目の一つであり、門出を寿ぐ祝典を開催できなかったことは残念でなりません。また、新入生にとって大切なイベントである入学式開催も断念しました。
4月初旬からゴールデンウイークまで非常事態宣言が発令されていたため、学園全体が休校になりました。前代未聞の出来事ですが、非常事態宣言解除後に始まったWeb授業は学生、教職員ともに初体験であり、想定外のことで準備不足等により対応が後手後手にまわること度々でしたが、春学期中盤にはWeb環境も徐々に改善され、春学期はなんとか乗り切ることができました。ただし、低回生実験は、薬学部と協同して、7月後半から8月の間で、内容を圧縮し、対面で実施しました。研究室での実験も4月は完全にストップし、ゴールデンウイーク明けから密を避けるため、人数制限をしながら進めて来ました。
この間、Web講義に対する支援として、PCやルーターの貸出等のオンライン受講のための環境整備やコピー代や通信費等のサポート、さらにコロナ禍により経済活動が大きなダメージを受けてきたなかで、アルバイト先の喪失あるいは家庭の経済状況が悪化するなど困窮状況に陥った学生に対する支援など、学園を挙げて取り組んで参りました。そのなかで、募金活動におきましては、会員皆様方の心温まるご支援を頂きまして、厚く御礼を申し上げます。
すべての講義がWebを介して行われましたが、定期試験も実施されなかったことから、成績は講義への参加度やレポート等の課題など平常点での評価となりました。私の30年近い教員生活において、もちろん初めての経験でした。毎日PCと長時間睨めっこし、多くのレポート課題をこなしていくことに対して、学生の皆さんはストレスを溜められたと思います。特に、1回生は、入学以来オリエンテーションの1日しかキャンパス生活を経験しておらず、人的交流の場でもあるキャンパスで生活が送れない状況は深刻な問題として受け止めております。秋学期には、基礎演習や実験で対面授業が行われる予定なので、こうした状況は少しずつ改善されるものと考えております。
しかし、現在もキャンパスへの入構制限は続いており、4回生以上の全学生数の40%までしか入構できず、研究室での活動が大きく制限された状況が続いております。卒業論文、修士論文および博士論文の進捗に大きな影響が出ており、秋学期で、如何に挽回するかが課題です。また、すべての海外留学は中止となり、途中帰国を余儀なくされた学生もいます。本国へ一時帰国していた留学生が日本に再入国できない状況にあります。国際学会や海外大学への訪問も取りやめになるなど、教学・研究における国際交流も大きな影響を受けております。
学生の就職活動もコロナ禍の影響を大きく受けました。ほぼ全ての学生がWebを介して面接を受けたのではないでしょうか。想定外の面接方式に戸惑ったことと思います。また、自宅や下宿先に閉じこもる機会が増えたことから、気分転換を上手にはかるなどの工夫も必要だったと思います。今年のイレギュラーな就活を乗り切った学生の皆さんは、本当に良く頑張ったと思います。
そうしたコロナ禍にあっても学園として将来を見据えた歩みを止めるわけにはいきません。現在、R2030と言う立命館学園全体として10年後にあるべき学園像、達成する目標を策定しています。そうしたなか、情報理工学部と映像学部が2024年4月にOICへ移転し、新たな教学・研究を展開することが決まりました。BKCから情報理工学部が転出したのち、学生の皆さんがここで学び、研究して本当に良かったと強く思えるようなキャンパスとしてBKCを発展させていくためには、各学部が協力して諸課題に取り組まねばなりません。そうした学部を超えた協同的な取り組みを行っていくためには、その基盤となる生命科学部の将来構想が必要です。学部の独自性と優位性を再確認し、R2030の理念に合致するように新たな視点を取り入れた将来構想を練っているところです。
世の中がコロナ禍の影響により、スピーディーに一層激しく変化していく時代になります。少子化対応は、R2030で掲げている研究高度化を実質的に達成するうえで、キーになる取り組みです。今後、生命科学部が発展していくためには、学生のバックグランドやニーズに対応した多様な教育機会と学生を大学院進学へと惹きつける先端研究の提供、かつ、これまで以上に、その成果を世の中に積極的に発信し、社会から注目される存在になっていかねばなりません。今後の発展に向けて、会員の皆様方から、より一層のご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
いつになったら安心して通常生活を送ることができるようになるのか、誰も明確な答えはもっていません。もうしばらくの我慢と言えれば良いのですが、そう言えない状況です。最後になりましたが、皆様方のご健康を切にお祈り申し上げます。
2020年9月2日更新
私は医学部の出身で、一般病院で臨床研修を終えた後、大学院では白血病の研究で学位を取得しました。その後、米国留学、京都大学ウイルス研究所勤務を経て、1998年から医学部の講師をしていました。2008年4月に本学のびわこ・くさつキャンパス(BKC) に生命科学部が設置されたときに、その中に新しく作られた生命医科学科の教授として着任しました。
医学部と理工系の学部ではかなり教育カリキュラムが違います。医学部は6年制であり、専門科目がすべて必修で、上級生には臨床実習が課せられますが、卒業研究はありません。そのため、こちらに来た当初は、戸惑うことが少なくありませんでした。
私が着任した初年度には、理工学部の化学生物工学科の学生3人が卒業研究生(卒研生)として私の研究室に配属されました。これまでとは違う学科の、しかもどんなことをするか分からない研究室によく来てくれたと思います。その後も自学科の1期生が4回生になるまでは、化学生物工学科または情報理工学部の生命情報学科の学生が卒研生として配属されました。2010年度からは、所属は理工学研究科のまま、修士の大学院生2人を受け入れました。そして、2011年度に自学科から卒研生が配属されるようになったとき、ようやく生命医科学科が学科とし自立できたと感じました。2012年には学部の上に正式に大学院生命科学研究科が開学しました。
自学科1期生の卒研生についてはよく覚えているのですが、内部進学した学生は1人だけで、その他は企業に就職するか他大学の大学院へ行ってしまうというような状況でした。しかし、その後は毎年、数名の内部進学の学生を受け入れてきました。思い返すとそれぞれに個性的で熱意のある学生ばかりで、そのような院生たちや卒研生たちと研究室で過ごした日々を懐かしく思い出します。
こちらに来て数年間は、医学生物系の研究機器が揃っておらず、あまり研究できる環境ではありませんでした。同僚の教員たちと協力して大学本部にも働きかけた結果、1期生が修士の大学院へ進む5年目頃から少しずつ研究できる環境になってきました。
私は、医学部の講師時代に、Hippo経路という細胞の増殖や生死を制御する重要なシグナル伝達経路の主要な構成分子であるLats2/Kpmという分子を同定単離し、その分子およびHippo経路について研究を行っていました。本学に来てからも、主にHippo経路に関連したテーマで研究を続けてきました。それに関する最近の研究成果について簡単に紹介させていただきます。
慢性骨髄性白血病(CML)という病気は染色体転座によって生じたBCR-ABLというチロシンキナーゼによって起こりますが、その下流シグナルに関してはまだ十分に解明されていません。われわれは、BCR-ABLに間接的にHippo経路の転写補助因子のYAPがチロシンリン酸化されて活性化し、細胞の不死化や増殖を促進する遺伝子の発現を誘導することを明らかにしました。CMLはグリベックあるいはその後に出たタシグナなどの分子標的治療薬により、治癒可能な疾患と見なされていますが、中には薬剤耐性のものもあり、その克服のためには、さらなる病態解明が必要です。われわれの研究が新しい治療法の開発に繋がることを期待しています。
本学には12年在籍し、2020年3月に停年退職いたしました。思い返せば、大学院に入学してから40年近く、医学研究に関わってきました。こんなに長く、好きな研究を自由にやらせてもらえて、本当に幸運だったと思います。4月からは、特任教授として、いくつかの講義と実習を担当していますが、折からのコロナウイルスの問題で、多くが遠隔授業となり、キャンパスへ行く機会が減っています。それでもまだしばらくはキャンパスでお会いすることもあるかと思います。今後、生命科学部、生命科学研究科がますます発展することを祈念いたします。
医学部と理工系の学部ではかなり教育カリキュラムが違います。医学部は6年制であり、専門科目がすべて必修で、上級生には臨床実習が課せられますが、卒業研究はありません。そのため、こちらに来た当初は、戸惑うことが少なくありませんでした。
私が着任した初年度には、理工学部の化学生物工学科の学生3人が卒業研究生(卒研生)として私の研究室に配属されました。これまでとは違う学科の、しかもどんなことをするか分からない研究室によく来てくれたと思います。その後も自学科の1期生が4回生になるまでは、化学生物工学科または情報理工学部の生命情報学科の学生が卒研生として配属されました。2010年度からは、所属は理工学研究科のまま、修士の大学院生2人を受け入れました。そして、2011年度に自学科から卒研生が配属されるようになったとき、ようやく生命医科学科が学科とし自立できたと感じました。2012年には学部の上に正式に大学院生命科学研究科が開学しました。
自学科1期生の卒研生についてはよく覚えているのですが、内部進学した学生は1人だけで、その他は企業に就職するか他大学の大学院へ行ってしまうというような状況でした。しかし、その後は毎年、数名の内部進学の学生を受け入れてきました。思い返すとそれぞれに個性的で熱意のある学生ばかりで、そのような院生たちや卒研生たちと研究室で過ごした日々を懐かしく思い出します。
こちらに来て数年間は、医学生物系の研究機器が揃っておらず、あまり研究できる環境ではありませんでした。同僚の教員たちと協力して大学本部にも働きかけた結果、1期生が修士の大学院へ進む5年目頃から少しずつ研究できる環境になってきました。
私は、医学部の講師時代に、Hippo経路という細胞の増殖や生死を制御する重要なシグナル伝達経路の主要な構成分子であるLats2/Kpmという分子を同定単離し、その分子およびHippo経路について研究を行っていました。本学に来てからも、主にHippo経路に関連したテーマで研究を続けてきました。それに関する最近の研究成果について簡単に紹介させていただきます。
慢性骨髄性白血病(CML)という病気は染色体転座によって生じたBCR-ABLというチロシンキナーゼによって起こりますが、その下流シグナルに関してはまだ十分に解明されていません。われわれは、BCR-ABLに間接的にHippo経路の転写補助因子のYAPがチロシンリン酸化されて活性化し、細胞の不死化や増殖を促進する遺伝子の発現を誘導することを明らかにしました。CMLはグリベックあるいはその後に出たタシグナなどの分子標的治療薬により、治癒可能な疾患と見なされていますが、中には薬剤耐性のものもあり、その克服のためには、さらなる病態解明が必要です。われわれの研究が新しい治療法の開発に繋がることを期待しています。
本学には12年在籍し、2020年3月に停年退職いたしました。思い返せば、大学院に入学してから40年近く、医学研究に関わってきました。こんなに長く、好きな研究を自由にやらせてもらえて、本当に幸運だったと思います。4月からは、特任教授として、いくつかの講義と実習を担当していますが、折からのコロナウイルスの問題で、多くが遠隔授業となり、キャンパスへ行く機会が減っています。それでもまだしばらくはキャンパスでお会いすることもあるかと思います。今後、生命科学部、生命科学研究科がますます発展することを祈念いたします。
2020年9月2日更新
私が立命館大学に赴任したのは、2004年のこと、びわこくさつキャンパス(BKC)に新しく発足した情報理工学部でした。当時情報理工学部は4つの学科を有し、その中の一つ生命情報学科の一教員となりました。そのころはヒトゲノムが解読された直後で、バイオインフォマティクス、生命情報学に大いなる期待が寄せられていました。ただ、当時バイオインフォマティクスを専門とする人物はきわめて限られており、私も(今でこそ専門はバイオインフォマティクスだとはったりを言っておりますが)、当然生命情報学は専門ではなく、これから新しい分野を開拓するんだ、というような意気込みを感じておりました。生命情報学科はコンピュータを研究手段とするドライ系と呼ばれる分野の教員と、いわゆる伝統的な生命科学研究を中心とするウェット系分野の教員が半々で存在し、互いに協力しながら研究を進め、またその観点から学生を教育し、世に両方の素養をもった人材を輩出することに尽力しておりました。私はもともと、ヘモグロビンのアロステリック効果の統計力学理論で学位をいただき、その後タンパク質のトポロジー構造分類や、アミノ酸配列からタンパク質構造単位を予測する方法論の開発に従事し、さらに企業にていわゆるコンピュータ支援分子モデリング(CAMM)研究も行っておりました。つまり一貫して計算化学分野でコンピュータを用いて研究を行ってきたドライ系の研究者です。さて情報理工学部時代には、2005年度に国際主事として執行部に加わりました。そしてそのころですが、2007年から理工学振興会(ASTER)事業推進委員を拝命致しました。理工学振興会はその後、科学技術振興会に名前を変え、現在に至っております。私のASTERとの関わりは2018年度まで続くことになります。
2008年には、BKCに新しく生命科学部と薬学部が誕生しました。そして生命情報学科は生命科学部へ、我々も情報理工学部から生命科学部に移ることになりました。当時は、生命科学は21世紀の科学分野として大いに期待できるという雰囲気を醸し出しておりました。そして主にウェット系分野の教員は、生命科学部の他学科や薬学部に移り、生命情報学科はドライ系教員が中心となりました。しかしやはりこのままでは、当初の理念が崩れてしまうと危惧され、徐々にオミクス研究を主体としたウェット系分野も充実させていくことになります。2011年から2013年までは、入試高大連携副学部長として、執行部にて学部運営に携わりました。そして定年の一年前に学部長を拝命し、本当に微力であることを痛感しましたが、なんとか一年学部・研究科の運営に尽力いたしました。
さて研究室を主宰して来て感じたことは、2014年から英語基準の留学生が大学院に入学するようになり、また2-3ヶ月の短期滞在の留学生も徐々に増えてきて、ここ数年で国際化が進んだということです。国も、ケニア、インド、タイ、バングラデシュなど多様で、ゼミもさすがに日本人学生が英語でゼミをやるのは難しいですが、パワーポイントスライドは英語で作成するようになりました。さらには留学生ではないけれども、アメリカ人もゼミに加わってもらえました。このようなことは、学生・院生にも大いに刺激になったと思っております。ただ残念と思っているのは、せっかくの機会でしたが、日本人学生が英語を習得するより留学生が日本語を習得する方が早いということです。
私自身は、2016年に学外研究の機会をいただき、ブダペストの酵素学研究所とボストンのハーバードメディカルスクールに一ヶ月ずつ滞在しました。学部・学科の方々に感謝申し上げます。またその年にはニューオリンズで国際学会があり、組織委員会にも参加いたしました。研究面でも、この数年でこれまで行ってきたタンパク質フォールディング予測研究に一定のけりをつけることができたと思っております。一緒に研究してくれた学生諸君のおかげだと思っております。また無事定年まで勤めあげられたのも、皆様のおかげと思っております。感謝申し上げます。
2008年には、BKCに新しく生命科学部と薬学部が誕生しました。そして生命情報学科は生命科学部へ、我々も情報理工学部から生命科学部に移ることになりました。当時は、生命科学は21世紀の科学分野として大いに期待できるという雰囲気を醸し出しておりました。そして主にウェット系分野の教員は、生命科学部の他学科や薬学部に移り、生命情報学科はドライ系教員が中心となりました。しかしやはりこのままでは、当初の理念が崩れてしまうと危惧され、徐々にオミクス研究を主体としたウェット系分野も充実させていくことになります。2011年から2013年までは、入試高大連携副学部長として、執行部にて学部運営に携わりました。そして定年の一年前に学部長を拝命し、本当に微力であることを痛感しましたが、なんとか一年学部・研究科の運営に尽力いたしました。
さて研究室を主宰して来て感じたことは、2014年から英語基準の留学生が大学院に入学するようになり、また2-3ヶ月の短期滞在の留学生も徐々に増えてきて、ここ数年で国際化が進んだということです。国も、ケニア、インド、タイ、バングラデシュなど多様で、ゼミもさすがに日本人学生が英語でゼミをやるのは難しいですが、パワーポイントスライドは英語で作成するようになりました。さらには留学生ではないけれども、アメリカ人もゼミに加わってもらえました。このようなことは、学生・院生にも大いに刺激になったと思っております。ただ残念と思っているのは、せっかくの機会でしたが、日本人学生が英語を習得するより留学生が日本語を習得する方が早いということです。
私自身は、2016年に学外研究の機会をいただき、ブダペストの酵素学研究所とボストンのハーバードメディカルスクールに一ヶ月ずつ滞在しました。学部・学科の方々に感謝申し上げます。またその年にはニューオリンズで国際学会があり、組織委員会にも参加いたしました。研究面でも、この数年でこれまで行ってきたタンパク質フォールディング予測研究に一定のけりをつけることができたと思っております。一緒に研究してくれた学生諸君のおかげだと思っております。また無事定年まで勤めあげられたのも、皆様のおかげと思っております。感謝申し上げます。
2020年8月26日更新
立命館大学薬学部は、今年、生命科学部と共に創設12年目を迎えました。立命化友会、病院薬剤師会、薬剤師会の皆様方には、日頃からさまざまな分野でご支援を賜り厚く御礼申し上げます。私、2017年度に薬学部長になり3年間務めさせて頂きましたが、今年度からもう一期3年間薬学部長を務めることになりました。どうか宜しくお願い申し上げます。
今、この原稿を書いている8月24日は例年ですと夏休みで、学生は友人と一緒に旅行をしたり、故郷に帰省して家族とゆっくり過ごしている時期です。薬学部の学生は、今日も朝から医療薬学実習などの実習を全員マスクとフェースシールド(またはゴーグル)を着用して受けています。新型コロナウイルス禍の影響で春学期の通常講義が全てオンラインとなり、どうしても対面でないと出来ない実習を夏休み期間に集中して実施しているためです。新型コロナウイルスは人の交流を止めました。生協食堂でも「食事中の会話や携帯電話の操作はお控えください。食事が終わったらすぐにお席をお立ち下さい。」といったアナウンスが常に流れています。研究室でも密にならない様に同時に研究できる人数に制限がかかっています。Toronto大学とSickKids病院での海外臨床実習プログラムも中止となり、Toronto大学からのAdvanced Pharmacy Practice Experience (APPE)プログラム生の来日も中止になりました。現状仕方がないと思いながらも、やはり大学の魅力は、講義、実習、演習、クラブ活動、サークル活動などにおける学生同士、学生と教職員とのリアルな交流が出来るキャンパスにあると思っております。新型コロナウイルス感染のリスクを最小限に抑える工夫をしながら、バーチャルな手法を併用しつつも極力リアルな学びの場を提供していく必要があると感じております。
さて、病院や薬局で活躍し、地域社会の医療の担い手になれる薬剤師の育成を目指す6年制の薬学科が設置されたのは2008年、これまでに7期生までで678人の卒業生を輩出致しました。今年の進路状況は、薬局(45.3%)、企業(28.0%)、病院(24.0%)、公務員(2.7%)、大学院(1.3%)の順で、例年に比べやや薬局が多い印象があります。薬学部の教員には、大学の通常の教育と研究に加え、薬剤師国家試験に学生を合格させるという使命があります。更に実務実習の際の薬局・病院訪問など他学部にはない苦労がありますが、薬学部の教職員は日々奮闘しております。しかしながら、今年2月に実施された第105回薬剤師国家試験は私立薬科大学56校中24位と前年度の11位から大きく順位を下げてしまいました。他大学薬学部は薬剤師国家試験対策専門の教員を配置するなどして国家試験合格率を少しでも上げるために非常に力を入れてきています。本学薬学部は普段の学びの延長線上に国家試験があるという考えのもと、卒業研究も実習もしっかりやって参りました。その基本姿勢は維持しつつも、もっと国家試験対策に力を入れないといけない時期にきていると反省致しております。AI、IoTの時代を迎え薬剤師の仕事も大きな転換期を迎えています。これまで薬剤師固有の仕事であった調剤業務の一部は機械にとって替わられていくことが予想されます。対物から対人へ。患者さんを中心にした薬物治療全般に責任を持って積極的に参画できる薬剤師の育成に務めて参ります。
高度の知識と技能、問題発見・解決能力を持ち、最先端の創薬研究を遂行出来る人材の育成を目指す4年制の創薬科学科は2015年に開設されました。昨年度、薬学研究科薬科学専攻修士課程が設置され、来年度には薬科学専攻博士課程後期課程も届出で設置されることが決まりました。これで薬学専攻博士課程とともに薬学研究科の研究体制がやっと整うことになりました。日頃ご支援を頂いております学内外の皆様方に、心より御礼申し上げます。創薬科学科ですが、これまでに2期生までで74人の卒業生を輩出いたしました。今年度は卒業生の78%もの学生が薬科学専攻博士課程前期課程に進学し、改めて非常に研究マインドの高い学生が集まっていることを実感致しました。学部卒の学生も、3人国家公務員試験に合格し、その内の1人は超難関の国家公務員総合職試験に合格して文部科学省に入省致しました。創薬科学科にはチャレンジ精神旺盛な学生が本当に多いと感じております。多くの学生が各自の夢を叶えられる職場に就職出来る様、これからも研究のレベルを上げていきたいと思っております。
私の臨床薬理学研究室からは、これまでの7年間で39人の学生が社会に巣立っていきました。例年彼らが研究室のOB•OG会を開いてくれるのですが、今年は新型コロナウイルス禍のためやむなく中止致しました。いつもその集合写真を載せておりましたが、今年は代わりに彼らが送ってくれたメールの一部をご紹介致します。彼らのこういった思いが、私が学部長として立命館大学薬学部のために全力を尽くす支えになっています。最後に、来年はOB•OG会が開けられることを心から願い、これからも卒業後、「立命館で学んで良かった」と思ってくれる卒業生を一人でも多く輩出する様、頑張りたいと思っております。
今、この原稿を書いている8月24日は例年ですと夏休みで、学生は友人と一緒に旅行をしたり、故郷に帰省して家族とゆっくり過ごしている時期です。薬学部の学生は、今日も朝から医療薬学実習などの実習を全員マスクとフェースシールド(またはゴーグル)を着用して受けています。新型コロナウイルス禍の影響で春学期の通常講義が全てオンラインとなり、どうしても対面でないと出来ない実習を夏休み期間に集中して実施しているためです。新型コロナウイルスは人の交流を止めました。生協食堂でも「食事中の会話や携帯電話の操作はお控えください。食事が終わったらすぐにお席をお立ち下さい。」といったアナウンスが常に流れています。研究室でも密にならない様に同時に研究できる人数に制限がかかっています。Toronto大学とSickKids病院での海外臨床実習プログラムも中止となり、Toronto大学からのAdvanced Pharmacy Practice Experience (APPE)プログラム生の来日も中止になりました。現状仕方がないと思いながらも、やはり大学の魅力は、講義、実習、演習、クラブ活動、サークル活動などにおける学生同士、学生と教職員とのリアルな交流が出来るキャンパスにあると思っております。新型コロナウイルス感染のリスクを最小限に抑える工夫をしながら、バーチャルな手法を併用しつつも極力リアルな学びの場を提供していく必要があると感じております。
さて、病院や薬局で活躍し、地域社会の医療の担い手になれる薬剤師の育成を目指す6年制の薬学科が設置されたのは2008年、これまでに7期生までで678人の卒業生を輩出致しました。今年の進路状況は、薬局(45.3%)、企業(28.0%)、病院(24.0%)、公務員(2.7%)、大学院(1.3%)の順で、例年に比べやや薬局が多い印象があります。薬学部の教員には、大学の通常の教育と研究に加え、薬剤師国家試験に学生を合格させるという使命があります。更に実務実習の際の薬局・病院訪問など他学部にはない苦労がありますが、薬学部の教職員は日々奮闘しております。しかしながら、今年2月に実施された第105回薬剤師国家試験は私立薬科大学56校中24位と前年度の11位から大きく順位を下げてしまいました。他大学薬学部は薬剤師国家試験対策専門の教員を配置するなどして国家試験合格率を少しでも上げるために非常に力を入れてきています。本学薬学部は普段の学びの延長線上に国家試験があるという考えのもと、卒業研究も実習もしっかりやって参りました。その基本姿勢は維持しつつも、もっと国家試験対策に力を入れないといけない時期にきていると反省致しております。AI、IoTの時代を迎え薬剤師の仕事も大きな転換期を迎えています。これまで薬剤師固有の仕事であった調剤業務の一部は機械にとって替わられていくことが予想されます。対物から対人へ。患者さんを中心にした薬物治療全般に責任を持って積極的に参画できる薬剤師の育成に務めて参ります。
高度の知識と技能、問題発見・解決能力を持ち、最先端の創薬研究を遂行出来る人材の育成を目指す4年制の創薬科学科は2015年に開設されました。昨年度、薬学研究科薬科学専攻修士課程が設置され、来年度には薬科学専攻博士課程後期課程も届出で設置されることが決まりました。これで薬学専攻博士課程とともに薬学研究科の研究体制がやっと整うことになりました。日頃ご支援を頂いております学内外の皆様方に、心より御礼申し上げます。創薬科学科ですが、これまでに2期生までで74人の卒業生を輩出いたしました。今年度は卒業生の78%もの学生が薬科学専攻博士課程前期課程に進学し、改めて非常に研究マインドの高い学生が集まっていることを実感致しました。学部卒の学生も、3人国家公務員試験に合格し、その内の1人は超難関の国家公務員総合職試験に合格して文部科学省に入省致しました。創薬科学科にはチャレンジ精神旺盛な学生が本当に多いと感じております。多くの学生が各自の夢を叶えられる職場に就職出来る様、これからも研究のレベルを上げていきたいと思っております。
私の臨床薬理学研究室からは、これまでの7年間で39人の学生が社会に巣立っていきました。例年彼らが研究室のOB•OG会を開いてくれるのですが、今年は新型コロナウイルス禍のためやむなく中止致しました。いつもその集合写真を載せておりましたが、今年は代わりに彼らが送ってくれたメールの一部をご紹介致します。彼らのこういった思いが、私が学部長として立命館大学薬学部のために全力を尽くす支えになっています。最後に、来年はOB•OG会が開けられることを心から願い、これからも卒業後、「立命館で学んで良かった」と思ってくれる卒業生を一人でも多く輩出する様、頑張りたいと思っております。
- いかがお過ごしでしょうか。OBOG会中止とのこと大変残念です。(中略)私は今春から感染症部門に異動しまして、コロナ対応に追われる日々です。抗体検査もメジャーになりつつあり、研究室を思い出す機会が増えました。 非常に忙しいですが同時にやりがいもありますし、今しかできないことでもあるので一生懸命勉強しようと思います。また先生にお会いできる機会を楽しみにしています。(1期生)
- 服部先生のお陰でここまでやってくることができました。3年間という長い間、熱心にご指導して下さいまして、先生には感謝しかありません。4月からは新社会人ですが、研究室で学んだ事を生かしながら頑張りたいと思っています。(7期生)
2020年1月29日更新
-
2020年1月20日(月)C606号教室において、生命科学部生命情報学科 菊地 武司教授、また、F304号教室において、生命科学部生命医科学科 堀 利行教授の退職記念講義が行われました。
菊地 武司教授の講義では、「我CAMM研究を顧みて」と題して、
堀 利行教授の講義では、「臨床から細胞生物学 〜興味と運と人〜」と題して、
研究初期から、現在の研究までを振り返られ、研究の重要性や成果等を講義されました。
お二人とも若手研究者時代から、現在に至るまでの研究に対する姿勢、葛藤等をお話しされ、在学生、教員、職員らが熱心に耳を傾けていました。
講義終了後、生命科学部と卒業生から花束が贈呈され、大盛況の中、退職記念講義は終了しました。
先生方には、長年のご功労に感謝するとともに、今後の益々のご健勝を祈念いたします。
講義風景 | 花束贈呈 |
堀 利行教授
講義風景 | 花束贈呈 |
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(旧立命館大学応化会)
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