進学・就職先より

進学・就職先より

情報通信エレクトロニクス工学科卒業 松川一希さんより寄稿

本校のクリーンルームに装置を導入した際に寄稿をお願いしました。
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卒業後熊本を離れ、京都にあるサムコ株式会社(Samco)に就職し、早くも4年の月日が流れました。
Samcoは1979年設立の半導体および電子部品製造装置メーカーです。社名のSamcoはSemiconductor and Materials Companyの頭文字で、半導体と材料開発の分野で躍進することを目指しています。主力製品は、プラズマ化学を基礎にしたCVD装置、ドライエッチング装置、ドライ洗浄装置です。世界8ヵ国に11の拠点を構え、グローバル中堅企業として京都から世界へ最先端の製品と技術を提供しています。2024年現在はプライム市場に上場し、薄膜技術で世界の産業科学に貢献することを経営理念としています。
 
過日は、貴校のクリーンルーム内の設備の立ち上げ作業に携わらせていただき、誠にありがとうございました。既存の成膜装置PD-100STに加えて、新たにSi深掘り装置RIE-400iPBを導入し、両装置のレイアウトを変更、配管の接続、反応室内の部材の取り付け、基本性能検査、オペレーショントレーニングをおこないました。
PD-100STは、研究用途に特化したCVD装置です。Samco独自技術であるカソードCVDで液体原料を使った成膜が可能です。液体原料はモノシランを使用することなく酸化膜を堆積させることができます。
RIE-400iPBは、デバイス作成時に電極部のコンタクトホールを形成することができる装置です。ボッシュプロセスができる装置であるため通常のドライエッチング装置と比較し、保護膜の成膜とエッチングを、組み合わせたプロセスにより高アスペクト比でエッチングをおこなうことが可能です。Si深掘り装置が導入されたので、これまで以上に幅広いデバイスの製作が可能になると期待しています。
 
今回4年ぶりに母校を訪れてみると、数々の思い出がよみがえりました。クラスマッチ、研修旅行、学生会、ロボコン、日々の授業や実験、そして…テスト。どの経験も社会に出ると意外と役立っていると気づきました。学生時代は、日々の出来事をただただ楽しむことに没頭していましたが、今はもう少し真剣に勉強に取り組むべきだったと感じています。学生当時は、まさか社会に出てから、自宅で電磁気学や電気回路の本を読む日々が待っているなんて想像もしていませんでした。
 
先生方には学業はもちろん、私生活の悩み、進路の相談にも親身に乗っていただき、心から感謝しています。学生時代は苦労も多かったですが、普通の高校では経験できないこともたくさんありました。高専での経験は間違いなく今の仕事に繋がっていると実感しています。
最近は半導体に関するニュースを目にしない日はないほど業界が注目されています。同時に半導体に携わる人材の育成は今後ますます重要になると思います。貴校のような教育施設により良い装置を使用していただけるよう、装置メーカーの一員として日々の業務に取り組んでまいります。
最後に、多くを学ばせていただいた先生方、先輩、そして同級生の皆様に感謝の意を表します。今後も成長を温かく見守っていただければ幸いです。

サムコ株式会社 松川 一希