□自己紹介
福祉栄養学科1期生として本学を卒業後、社会福祉法人慶生会に入職、特別養護老人ホームに配属された。同年5月、管理栄養士免許を取得しました。
□事業方針と仕事内容
①病院は入院患者が治療を受ける場でありますが、特養は、高齢者を中心とした入居者にできる限り自宅と似たような環境、体制の整った環境で生活することにより、その人らしい生活を実現するよう援助する場所です。
②人が生きるのに大切な「衣・食・住」のひとつである「食」を通じて、入居者の生活の質を維持し、健康に過していただくことが目的であります。
③仕事は、献立作成、調理師に食材を依頼し、料理の味見の他、食べ残し調査などの給食管理と、入居者の身体状況・疾病等の個々の状態に応じた食事の提供することと関連職種の人たちとの情報交換をするなどの栄養管理です。
④ひじき料理一つでも、煮物、酢の物、マヨネーズ和えなどがあり、入居者個々の好みが違います。管理栄養士としての仕事は、個々に合った食事を食べていただき健康に過していただくことや食事を通じて個人を尊重することにあると考えます。
□Aさんの事例
①脳梗塞を患って噛む力や飲み込む力が低下した入居者に、ブロッコリーやカボチャをペースト状にした食事を提供したところ、その入居者は食欲が減退してみるみる痩せていきました。
②過去、その入居者は鴨の飼育を職業としていたとの情報を得て、昔、大好きだった鴨料理を提供してはと考えまして、誕生日にケーキと鴨鍋を提供したところみるみる食欲が向上しました。
③これを機に「普通の食事」を提供するようになり、その後、その入居者は全量摂取するようになって、今では元気に過されています。
④食欲を増進させることで意欲が沸き、生活の質の向上に繋がったAさんの事例から、同様の取組を他の入居者にも実施中です。
□課題と方向性
①刻み状、ペースト状の食事を食べている方へは、可能な限り形ある食事を食べさせて食欲向上を図っています。
②病気や偏食による食欲の低下の方へは、好きな時に好きな物を食べていただきたい。
③料理が食べにくい方へは、関連職種で相談して個々に合った食事の提供を心がけています。
④食事がおいしくないという方へは、献立、料理方法を工夫しています。
□まとめ
①管理栄養士の役割は、介護や医療等の関連職員との連携の下、管理栄養士の知識を持って問題発見や解決に当たり、食事を食べることの重要性を説き、生活に寄り添うことにあります。
②栄養管理された食事を提供するだけでなく、ときには好きな物を食べていただくことも必要であり、いかに食事を食べていただけるかを常に模索し、個々を尊重することが管理栄養士の役割と考えます。
以上