同窓生紹介 網城 久良 さん

2012年12月04日(火)


□経歴

本学卒業後、平成22年京都教育大学大学院を修了して児童養護施設に心理士として就職、同年に臨床心理士資格試験に合格、翌年から子どもの心理療法に携わっています。

□臨床心理士・児童養護施設とは

①「心理師」として国家資格化の話もありますが、現在は臨床心理士資格認定協会が認めた民間資格です。ただし、同協会が指定する大学院を修了して、試験(筆記+面接)に合格することが条件です。臨床心理士は学校、病院、福祉施設や会社などでカウンセラーとして働いています。

②児童福祉法で定められており、子どもを育てられない大人に代わって、児童養護施設で十数人の職員が数十人の子どもを育てています。児童養護施設において、子どもは朝起きて、朝食を食べ、学校へ行く。学校から帰ってから、宿題、遊び、夕食を食べ、風呂に入って眠るという日々の生活を送っています。

□仕事の内容

①子どもは日中学校にいっているため、勤務時間は午後1時からです。子どもが下校するまで、セラピーの記録整理や幼児(4歳以下は幼稚園に行かない。2歳までは乳児院で預かる)の観察、子どもと直接関わっている生活支援員等の職員との話し合いが中心であります。

②子どもが帰ってからの午後4時から夕食までと、夕食後から午後9時までがセラピーの時間です。このセラピーの時間がメインの仕事で、週1回50分間子どもごとにスケジュールが決まっています。勤務時間は午後9時まででありますが、生活指導員との話し合い等がありもっと遅くなる場合があります。

③セラピー以外に、学校や児童相談所とのカンファレンスや外部で実施される子どもの心理検査の報告への立会いもあります。ただ、他の職員のように宿直、子どもへの指導や子どもを叱ることにはなるべく関わらないようにいています。

□セラピーとは、子どもと話す「カウンセリング」の時間だけでなく、遊ぶことを通じた心理療法である「遊戯療法(プレイセラピー)」を実施することです。

①カウンセリングでは、子どもとの対話によって子どもが自分の課題を考え、向き合っていくことをサポートし、遊戯療法では、子どもが遊ぶことによって自分の課題を受け入れ、向き合っていくことをサポートしています。

②医者は患者を問診して、身体を診て、検査して病名を伝え、薬を与えて病気を治しますが、セラピーは共感や傾聴の姿勢をもって、子どもに治す力をつけてもらうことです。

□大学での学び

①兵庫県出身。阪神大震災以降、兵庫県はスクールカウンセラーに力を入れていることを知り、心理に興味を持ち、進路をきめるときに本学を紹介されて入学しました。

②所属したゼミの先生が児童養護施設で働いていたため、就職や進学、現場の様子など具体的な話を聞くことができ、本学が福祉系の大学であったため、心理学を学びながら児童福祉論やケースワーク論などの福祉領域の講義を聞くことができました。

③中学や高校のように、先生が生徒を教え、生徒は教えられるという関係ではなく、将来先生と同じ立場に立つ者として扱われたことで、心理士として働くことの自覚や責任を感じています。

④大学で出合った同じ心理士として働く友人などと横のつながりを持って、この心理学の世界の中で悩み事や相談事など話し合い、お互い支え合っていくことのできる場(大学)はすばらしいものだと思います。

以上